ヒガンバナ、咲く
雨が数日降った後に晴れ、見るとヒガンバナが沢山咲いていた。たぶん蕾の時にはたいして目に止まらなかったのだと思う。数本手折って家に入り、小さな水盤(実は食器の中深皿)に生けた。赤ばかりで、白は二本、しかも一本は蕾だ。ちょっとだけのアクセントとして用いた。
高校生の時に国語、現代文において木下利玄の短歌を習った。「 曼珠沙華 一むら燃えて 秋陽つよし そこ過ぎてゐる しづかなる径 」という作品だ。私は頭の中に直ぐにこの光景がありありと浮かんで、以来、この短歌を忘れずにいる。
曼珠沙華(マンジュシャゲ)というのはヒガンバナの別名だ。真っ赤に燃えるようなヒガンバナが秋陽に照らされて咲いている。その径(このミチという字は小さい、小径だ)はずっと向こうまで続いている。命が燃えたぎって続く小径ではあるがあくまでも秋の静寂とそこ渡るスーッとした秋風までも感じられる。
ヒガンバナには感心する。本当に知って、分かっているように彼岸手前になると出て、咲く。他のどの花よりも目安が付く。
私の心は野に行く。ヒガンバナも含めて、これからの花野がまた私の心を狂おしくさせる。大好きな桃源郷の風景なのだ。
九州は残暑がまだきついが、それでも着実に秋はそこまでやって来ている。
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