ヤツデの花が咲いた
我が家のヤツデの木に花が咲いた。ピンポン玉のように真ん丸でポカポカした感じの白い花でいつもこの時期に咲く。ヤツデの木は家庭の庭には一般的な木なのだが、なかなか花生けにしたことはなく、稀に葉だけを使ったくらいだった。しかし今回は葉も花も生けてみた。やや渋めの陶製の壺を花器にした。
ヤツデの葉は八つとはいかないが大きな切れ込みがありまるで手を開いたようである。元々は日本の固有種だったが江戸期にシーボルトがヨーロッパに持ち帰った日本の固有種植物の中にヤツデもあった。丈夫で育てやすい常緑樹で重宝され世界に広まった。
さてヤツデと言えば天狗さん。天狗さんは手に鳥の羽で作った羽団扇(ハウチワ)を持っている。そして魔物を追い払いながら空を飛んだりする。そこで魔よけや疫病除けに通じると考えられてハウチワではないが似たタイプの常緑樹のヤツデが縁起物になった。大きな手のような形は千客万来、福をかき寄せるおめでたさに通じるものということでである。
まだまだ終息の目途のないまま第三波を世界的に迎えている新型コロナウィルス。なにかの思し召しのように生けたが、本当に疫病を世界から追い払いたい。
ツヤツヤしたヤツデの葉と愛らしくも力強い花をお粗末ながらも心こめて生けた。いけばなは、そもそもが祈りの花である。
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