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2005.11.22

つる植物を生けてみましょう

 衣替えや何やらやっていると気が付けば年末に近付いています。リース作りは好きなのですが今年はまったくちょっとだけでおしまい。来年は盛大に楽しむことにします。庭にかつて在ったフジの木の残りが毎年わずかに伸びて、私のリース作りの気を盛り立てます。既製の土台も時には買って、クリスマスリースを作るのです。

 つる植物を生けてみませんか。今時分ですと赤い実が生った、あるいははじけたものも多いです。先ずは一本を。生け花では「つるもの」と呼び、枝や茎がつる状に伸びる植物を言います。アサガオも、フジ、果物のキウイもつる植物です。秋の花展で盛んに花材として使われるのがツルウメモドキ、朱色の実がびっしりと付き、大ぶりな枝は華麗、豪華です。リースによく使われるサルトリイバラは大きな赤い実が可愛いですね。つる植物は掛け花、釣り花にすると優美に流れるような持ち味が生かせます。でも支えが無ければ下へとひたすら垂れてゆくことから、生け花でお祝いの席には一般的にはあまり使われません。

 大きなものは置く場所や好みもあるでしょうし、小さな一枝を徳利やワインの小瓶などに生けてみましょう。小鉢に剣山を入れて留め、ふわーっと垂れている一本を目線より上の棚に置いてもいいです。目線より高いと剣山がのぞかれないので針がびっしりあっても大丈夫。重みで倒れたり落下しないものを花とのバランスで器を決定します。色味の無い植物(緑だけなど)でしたらコギクの一、二輪でも下に添えてみましょう。


でもそんなに垂れる枝ものでなくつる状の植物が身近にあるものでもないかもしれません。うまく機会があって手に入った時に、気軽に親しんでみましょう。垂れっ放しでなく、先端の力にポイントを持っていきます。その先端が指し示す生命力です。すっと水が先端まで通っている印象も必要です。かよわいイメージのつる植物でも懸命に生きていく力をアピールしています。すがって生きていくのではなく何かをつかんで支えてもらって先へと自力で生き抜いているたくましさがあります。初冬となりました。見えるところ、見えないところでの冬が到来です。つる植物に学ぶこと、少しありそうです。

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2005.11.15

サクラの紅葉

 全国の紅葉ガイドなど、紅葉狩りの話題が多く見られる季節になってきました。日本人は愛でる幸せを心の栄養にし、自然の在りようを我が身に重ね合わせてきました。次の年はわからないけど今年、今の花、木を一緒に見て楽しもうと花見や紅葉狩りは広く一般的な行事という感じで生活に入っています。木が燃え上がるような真っ赤な紅葉、黄金色にびっしりと敷かれたイチョウなど、圧倒するインパクトで秋の盛りを告げます。さまざまな紅葉ある中で、私はサクラの紅葉が好きです。カエデのように鮮やか見事でもなくイチョウのように形の趣もなく、どちらかと言えば地味です。ごく稀にポインセチアの花(実際は花弁ではないのですが)のような赤できれいなものがあります。でも大体は黄色からオレンジ色、赤に変化している葉あるいは赤ですが、傷みのある葉がほとんどです。さながら林檎が傷んだ状態でお世辞にも素敵やきれいとは言えないでしょう。黒いボツボツがあっても柿の葉はその傷みこそが趣なのですがそれもなさそうです。なのに、私はサクラの紅葉が好きです。それはなんとなくですが照れ笑い、苦笑いしている自分に似ているようにも思えるのです。ごく稀に良いものがある、それが嬉しいところです。期待します。笑顔かな、とか思って。

 サクラ、サクラと少し歌いながらサクラの木の下や近辺を歩きながらちょっとスポット(ボツボツの黒い斑点)があっても素敵と思えるサクラの紅葉した葉を探しています。お気に入りの葉は持ち帰り、パソコンのところにパラリパラリと彩りを添えています。同居する葉に、「この小春日和を過ぎるといよいよ冬の予感だろうね」と話しかけると「うふふん」とか言っているような気がします。
 

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2005.11.10

秋色の散歩道を

 私の好きな散歩道はケヤキ並木。ついこの間、新緑だったと思ったらもう茶系のグラデーションに変化し、ハラハラと舞い散っています。やがてすっかり枯葉色に染まってゆくのですが、あまり縁は無いけれどエルメスのオレンジ色が似合いそうです。先日は意識して少し気だるいオレンジとレンガ色を着て歩いてみました。でも散歩道とは言え、散歩しているのではなく用があって通っています。もっとカッコつけてトレンチコートにブーツ、帽子もいいな、などと決して他の人にとっては絵にならないのに一人で苦悩して苦笑い。

 これから紅葉の季節。野山の見事さを写真で満たし、生活の中でとりあえず楽しみます。先日、花展でない大きなイベントに出かけましたが入り口の生け花作品にハッとしました。やや紅葉しかけているツツジ、秋らしいキク、コギク、リンドウ、さらにツルウメモドキの実、ワレモコウもちらほらと。中作でしたが本当にしっかりとした作品でした。どの方向から見ても見ごたえがあり趣があり、また舞台裏はきれいに隠されています。隅々にいたるまで行き届き、どんな小さな部分までも気を抜いていません。
 追創作。その作者が創作した手順を自分なりに推察しながら同じことをやってみるのですが、頭の中で生けてみます。そうすることもなかなか楽しくためになります。好みや癖がある自分に気付いたり新しい見方とらえ方も発見したり。流儀は関係なく私ならばこうしたいと思ったり。場を離れてから、的を得ていないかもしれないけれど小さなことでもメモしておくとよいと思います。記録はいつか役に立つことが多いものです。


 情緒なく言ってしまえば水分を蒸散しっ放しになって枯れてゆくことなのに、何故美しく心ひかれるのでしょう、紅葉は。燃え上がった生命の集大成と感じることもあるでしょうし、ただただ鮮やかさに惹かれるのかも。色味移ろう木々の下、冴え渡る風の中、秋色の散歩道を嬉々として歩いています。

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