« 2005年1月 | トップページ | 2005年3月 »

2005.02.28

マッスとの組み合わせ(2)

 マッスと葉の組み合わせをしてみましょう。葉といっても一枝に沢山ついている葉ではなく、単独で大きめの葉です。お庭にハラン(お寿司屋さんでギザギザにカットして仕切りに使っている葉です。)を植えている方はそれを使いましょう。庭の草花を切るのは早朝か夕方になってから。水分蒸散が盛んな日中の活動前か後にします。室内で観葉植物を育てている方は大きく育ったものならばそれを採用しましょう。モンステラ、クロトン、カラジウム、ゴムの木などの、葉が一枚で大きいものを使います。葉は大きめ一枚、小さめ一枚を用意します。花屋さんでも観葉植物の葉は販売しています。花器は既製品のコンポート、水盤でもいいのですが、あまり出番のなくなったスープ皿などを使っても色無地や柄ものなどで雰囲気が変わりそれもまた楽しいと思います。置く場所を決めてから大きさを考えて花器を選んでください。

 水盤でも深皿でも構いませんが、剣山を左右どちらかの端に寄せます。花器の半分は余白にして風を通します。そして水の面をきれいに見せます。剣山が安定しないようでしたら剣山の下にティッシュをたたんで敷いて平らに固定できるように調整します。大きめの葉を剣山の奥の方(剣山の針を隠すことを兼ねて)に水盤の直径、長辺の1.5~2倍長さに水切りして正面向けて立てます。真っ直ぐに立てるためには横に真っ直ぐに切ります。花器の縁側でなくて水面側の方になる、今立てた葉の斜め後ろに小さめの方の葉を7/10くらいの高さで立てます。寸法を目分量で決めて水切りして、その葉が持つ動きや個性を見ながら横向き加減にします。そしてやや後ろに倒し(引き)気味にします。マッスの花は葉の前です。中心になるものを決めて長めに切り、水切りしてから剣山中央あたりに挿してからぐっと正面に傾けます。それを中心に下、奥、両脇に中高に挿していきます。花器の縁に近い方は縁で剣山の針をいくらかカバーしてくれますので水面側のアフターケアに力を入れてください。マッスにした花茎は葉をつけて葉のついている節目のところから切り、剣山の目隠し用に必ずとっておいてください。あと、マッスはぎゅうぎゅう詰めな感じにならないように。

 かなりモダンでインパクトの強い作品です。でもモンステラとバラは洋風、ハランと菊類でしたら和風という風になります。花材、花器を変えて変化を楽しんでみてください。倒れる危険性も少ない安定タイプの生け花です。

| | コメント (0)

2005.02.27

マッスとの組み合わせ(1)

 単にマッスだけを生けていても飽きます。マッスに枝や葉を組み合わせて、いかにも生け花らしい作品にトライしてみましょう。今回は枝ものと組み合わせます。枝は何でもよいのですがウンリュウヤナギ、セッカヤナギ、ユキヤナギなどヤナギの類が軽くて素材が自然に持っている動きもあって生けやすいと思います。大きめと小さめ、二本用意してください。大きなスペースに置くものでなければ長さはそんなに要りません。合わせるマッス用の花も既製ですと二束くらい、多めに用意します。

 枝は水切りする必要はないのですが斜めに切るということをお話しました。もう一つ大事なことがあります。割りを入れて添え木をするということです。割りを入れるということは花鋏で切り込みを入れるということです。縦に一本ですが太い枝ですと横にも一本、十字に入れます。細い枝も必ずそうします。吸水面を広げてやることと剣山に留めやすくなるために、です。添え木は、頭が重くてふらふらするような枝にする言わば支柱です。生け花では添え木と言います。細いものやしっかりしたものには必要ありません。割りを入れた枝と、残っている同じ木の枝をご自分の人差し指くらい長さに切って合わせます。丸いもの同士ですのでゴロゴロしますから、合わさる面をそれぞれ少し花鋏かナイフで削って平たくして合わせます。その上下二ヶ所にワイヤーを二、三回巻いて留めます。花用のワイヤーは金物店や手芸店などで売っていますが、細いものから太いものまであり紙巻きしていて緑や焦げ茶色などの色のもの、白いものがあります。枝や茎に合わせて使いますが隠れること前提ですとまず緑色系の30番(細い)と18番(太い)があればよいと思います。

 ここまで準備した枝を剣山に留めますが、枝の裏表を確認してください。はっきり「裏っぽい」「表っぽい」と見て判ります。方向を決めて、立てます。ぐっと力入れて挿してください。枝が角度を持っていて傾けなくていい感じでしたらそのままです。もの足りない感じでしたらもう一本小さめの分を後ろに挿して、少し後ろに引いてください。奥行きが出ます。一本に見えるように足元一直線です。二本の前にマッスに花を生けますが頭が重くてもし剣山が浮きそうな時には枝の示す方向の反対側寄りにマッスを生けます。枝の真ん前でなくてよいのです。外に出ようとする動きを重心を下に置いて安定させるのがマッスの働きです。この時に、枝の振りが見せ場でしたら主役は枝ですのでマッスは小さめに低くまとめます。枝を小さなもの一本すうっと横になびくようにしてマッスをバンと見せたいのでしたら主役はマッスです。主役、脇役がはっきりと見てとれるようにメリハリつけましょう。必ず離れてみて全体のバランス(器とのバランスも)を確認、修正して仕上げましょう。花器は既製品の水盤でもオトシを入れた菓子箱でも深鉢でも花材と置く場に合ったものを選んでいてください。

| | コメント (0)

2005.02.26

花をマッスに生けてみましょう

 バラ三本を長く後ろに、短く中に、長く前にと挿して(花の顔が一直線にならないように中の低い花に方向付けして動きを出して)生け花を、と話しました。後ろの半開を省略して中のほぼ全開と前のほぼ蕾の二本にしても剣山を隠す葉のボリュームにより立派な作品になります。一輪、二輪、三輪生けを花や花器を変えていろいろ楽しんでみてください。季節感ある花、野の花なども機会があれば、ぜひ。花や花器に合わせて花台になるもの、敷物、その他置き合わせる小道具の変化でも組み合わせの変化で新鮮な印象になります。

 さて、花をマッスに生けてみましょう。生け花ではよく「マッス」と言って使いますがマスメディア、マスゲームの「マス」(集まり、塊)の意味です。花やら葉を集めて強さを表す生け方です。植木屋さんの刈り込みのようにぴっちりと球体や角形にするのでなく、大体のところでそういう形にまとめます。多少自然に出ている分があっても、窮屈な感じにならないように形づくります。普通は中くらいか小さめの花をマッスにしますが大きな作品では大輪のバラ数本でもします。
 バラ五輪でマッスにする場合、まず中心になる一本を決めて水切りして挿します。その一本の下、両脇、後ろに残りの四本を挿すのですが、花の開き方や表情などを一本一本回してながめてから決めます。中心の一本よりすべて低くするのですから球状になります。葉が付いた状態の茎を足したり剣山を隠すのに使いますので、葉は節目のところで茎を付けて切るようにしましょう。器の持つ質感や大きさに見合ったバランスのマッスをつくることが大事です。作品は必ず遠目で見て全体のバランスを確認することをしましょう。

 スーパーや花屋さんの店頭に束で小売している小菊などをよく見かけます。小菊などでも、中心の花を挿して中高にして周囲をそれより低く挿せばよいのです。スープカップや鉢類にでもマッスにして生けることをトライしてみてください。残った花、切り落とした花の小枝を栄養ドリンクの小瓶、ぐい呑み、小鉢などに入れて家の中あちらこちらに置いて楽しむこともお勧めします。

| | コメント (0)

2005.02.25

テーブル花、食卓の花

 卓上花のことについてもう少しお話してみます。披露宴などのパーティ花はフラワーアレンジメントにしろ生け花にしろ花材、花器、構成に決まりというものはありません。季節感があるものがよいのですが通年ある花でも、その場を盛り上げてくれるものであれば大丈夫です。でもあまりに重苦しかったり強烈な色や香りのあるもの、しっかりしたトゲがあるもの、花粉が落ちそうなどの不快感与えそうな花材、花器は食事が並ぶテーブルには向きません。また、座って向こう側の人の胸から上がちゃんと見えるくらいの高さで低めにして360°を押さえた構成にしましょう。倒れやすい花材や花器、構成も控えます。

 ご自宅での親しい間柄の集まりには花寄せをしてはいかがでしょう。季節に合った花を中心に数種類の花、緑を準備しておきます。皆の分はなくていいので一丁の鋏(きれいにしておきましょう)と水切り用ボール、タオルを用意しておき順番に好きに挿していくのです。誰が誰を責めるもなく恥ずかしい思いもせずに四方、好きな所に好きな花や緑を挿します。テーブルの大きさに合った(あとで皆分のお茶などが置けるように大きすぎないもの)花器を選び剣山を入れて剣山の針が隠れるくらいまで水を入れておきます。十分なところで皆が納得して作品の出来上がりです。霧吹きで水気を与えて、たっぷりと水を差して、テーブルを拭いて片付け。それからティータイム(コーヒーブレイク)です。共同で生けた花越しに楽しい話を花咲かせましょう。解散時に皆で花を分けて名残りもテイクアウト。気にされそうでしたら花代だけ会費みたいにして頭割りするとよいでしょう。お茶とお花を提供ということでお茶菓子などを客が持って来るようにしてそれで折半、それもよいかもしれません。

 お花に関して習っている人がいても教えている人がいても関係ない、心開いて笑って一つになって、皆で楽しい時間と空間を共有しましょう。以前お話した「花遊び」です。

 

| | コメント (0)

2005.02.24

生け花の奇数偶数と、対称非対称について

 まず花数の奇数、偶数についてお話します。生け花では3本、5本など奇数で扱うのが普通で、偶数は避けられます。奇数は割り切れないということから発展性を含んでいるということとアンバランスが動きを出すということから好まれるのです。それは慶弔に関する一般的なことでも同じです。割り切れておしまい、という仏事のお包みの意味合いでもあります。二、はお祝いでも「ダブル」ということで例外的にも使われています。
 対称、非対称でも同じことが言えます。仏事の供花以外に左右対称(シンメトリー)の生け花作品は無いのです。フラワーアレンジメントのテーブル花では左右対称で裾広がりにきれいな花が飾られていることが多いのですが、作品として鑑賞というよりはセレモニーを盛り上げるムードメーカー的なものと私は捉えています。例えば生け花作品でお祝いテーブルの四方花を置くと、左右非対称です。また、どこから見てもほぼ公平なアレンジメントの花と違い、角度方向で姿が違います。日本文化では元々、視点を変えると風景が変わる趣を楽しむことが常です。それは一人の人であっても、一つの国であっても、自然の景観であっても同じであり、そのあらゆる視点での良さを発見します。それは人生そのものにも通じることです。
 「わー、こんな一面があったんだー」とういう発見は衝撃ものもあるでしょうけど、感動ものも多いと思います。「アラ」を見つけるのでなく自分が「ハッとするところ」を感じとりましょう。作品は四方花でなく普通は後ろが壁であったりの三方花が多いのですが、生け花をする人は遠目で拝見して近寄り、左右、さらには後ろまでのぞき込みます。それは「アラ」探しでなく行き届いている気遣い、技術を学ぶためとも言えます。新装開店でも後ろはわびしいボロ家が、ということはなく必ず四方からの視線を意識して押さえている作品には脱帽です。自然の形態も、人の言動も、生け花作品も、視点を変えながらよく観察して「意識して」自分の感動を確認することは何かのステップアップにきっと役に立ちます。

| | コメント (0)

2005.02.23

鎮魂花

 友人の通夜、葬儀と二、三日淋しい日を過ごしました。高校の同級生で、仲良くしていました。生け花をしている数少ない友人で、花の話もよくしました。御遺影は女学生の時のままの微笑みの彼女で、同級生の涙を誘いました。届いている花、スタンド花というのはパターン化しているものと思います。もちろん祭壇のお花もそうかもしれないけど、鎮魂の花について思っていることがあります。私は白でまとめてほしいと家族に話しておこうと決めていることです。祭壇の花はパターンでなく注文になると高くなるでしょうけど、もし魂がまだ天に昇らず漂っているのならば「あっ、あの人が来てくれてる」「あっ、こんな花で送ってくれて嬉しい」ときっと思うような気がするから。ありがとうね、ありがとうね、と微笑みながら去ってゆけるような気がするから。

 亡くなった友人はおっとりとして朗らかでやさしい、三人のお嬢さんの母親でした。本当に「お母さん」といった温かい感じがする人でした。周囲を和ませほんわかとさせてくれました。私は彼女に心こめて雛祭りの花を生けようと思います。紅白のポコポコした愛らしいモモの花と、ぼんぼりのような蝶のようなナノハナを春の光の中の彼女の魂に、と思います。
 鎮魂歌ではない、鎮魂花で思いを届けます。雛の節句には、三人ともに元気で幸せでありますようにと願って皆で楽しく過ごしていたことでしょう。おひさまのようなお母さんのあなたは、時期が偶然ではあるけれど、私の中ではモモとナノハナがぴったりなのです。受け止めてくださいね。

| | コメント (0)

2005.02.20

花遊びしましょう

 空恐ろしいことが驚くべきことに頻発するようになってきました。戦争やテロといった大きなことでなくても毎日の報道で目を覆いたくなるような事件が多く、まったく何を信じられるのかもわからないくらいです。世の中の進歩は素晴らしいけれど、人は世の中の動きのめまぐるしさに追いたてられているのかもしれません。子供から大人までこの渦中にあってずい分多くの人が疲れ、心も複雑に屈折しているようにも思います。ストレスとは心と体のバランスの歪みから生じる「きしみ」と言えますがストレスがすべて悪いのでもありません。コレステロールにも善玉菌と悪玉菌があるように、ストレスにも重責ではあってもやり甲斐ある仕事に向かっている時や大舞台に立つような大緊張のようなもの、それ以外の不安や憂鬱に代表される重圧の両面があります。ただどちらも精神的に負荷がかかるという点では同じことです。現代人がストレスを感じずに暮らす方が難しい時代でしょう。上手に自分や周囲と付き合ってストレスも解消しながら楽しく過ごして行きたいものです。

 「生け花に何ができるか」花を生けて飾って生活を明るく楽しくする演出だけなのでしょうか。 

 数年前に私が思い込み過ぎて「生け花が人を救うことができる」と信じていたことが大きく崩れ去り、立ち上がれないくらいの衝撃を受けました。それでも今、あまりに大そうに思っていた分を差し引いてもやはり「人の心の糧」となることだけは信じられます。生命あるもので自分を表現する、その過程での花との対話から度ごとに大なり小なりのものを得られます。生命と向き合っていればこそのことだと思います。
 少年少女が殺人を犯してしまう、その元凶が何かをはっきりと示せないものの、私は小さな子供が花を植えたり行事の折りに花を生けたりすることが生命の尊さを身をもって体得できることとして、おままごとであっても大切と思うのです。「お花遊び」でいいのです。水切りしてあげることをお約束としていれば。

 生け花は、大人でも「花遊び」でいいのです。修行なんかではないのです。水切りしてあげて、アフターケアまで気持ちが行っていれば。花遊びといっても花たちは「もの」ではなく生命です。さんざん切り刻まれて遊ばれストレス解消されるのではたまりません。花に自分の心を遊ばせ、ゆったりと自由に解き放つのです。さあ、花遊びしましょう。

| | コメント (0)

2005.02.19

三役で構成される生け花

 バラ三本で生け花、その場にふさわしく生き生きとしていて、またそうさせてくれていますか。水替えしなくても、ぐんぐん吸い上げられて減った分の水を花器いっぱいにしておいてください。部屋が暖かいならば少し氷を入れてあげて。水が温むとバクテリアの繁殖から茎がヌルヌルして水も汚れます。水切りも必要です。

 花器の挿し口いっぱいに花材を挿すのでなく、左右どちらかに空間をつくって生けたゆとりのある風通しのよい足元の作品こそ、全体を引き締めて見せる生け花の良さです。ボールや小さな水盤のような花器に花三本の生け花では剣山をどちらかに寄せるほどの大きさもないかもしれないので剣山の中で目分量で半分に分け、それより外側に挿すことをしました。ベターッとしなくても残り半分の剣山の針が丸見えにならないように葉で隠しました。

 水盤が大きくて片側の端に剣山を置いて、それならば剣山の中はどうでもいいかというと、それは違います。剣山に挿す位置を考えて力関係のバランスをとります。バラでは正面につぼみ、真ん中は斜め前方向に全開、後ろに倒し気味の半開、の高さや長さが違う三本を挿しました。バラでなくウメやモモなどの枝ものですと剣山の針は丸見えですので下に低く配材の花を挿して隠しながらまとめます。時々、生け花作品を見ていると剣山が浮いて倒れるのを防止するために重しに石を置いたり別の剣山を被せているのを見ます。流儀が違うので批判することはないにしろ、お勧めできません。剣山内での花材の力の配分でバランスがとれるのですから、挿し位置や量、傾け方など工夫してみましょう。必ず失敗の体験からそれは発見してゆけます。教室でしたらそれ以前にその都度、先生が教えてくれます。

 さて、高さ、奥行き、横幅を表す三本が花であっても枝であっても主役の三本であれば主役格の三役です。一役が欠席してニ役ということがあっても作品の形を成すことができます。自分の都合のいいように配役して「お父さん」「お母さん」「子供」としたりしてストーリー性を付けるとあまりに面白く、夢中になります。(私は、なりました)独身の方ですと「私」「彼(彼女)」「協力者」でもいいわけです。自分で毎回プロデュースする世界がふくらんできます。

 

| | コメント (0)

2005.02.17

三輪のバラで生け花を

 一輪生けできるならば三輪、バラを生けてみましょう。今度は花器に剣山を入れて水を張って、しっかり生け花です。三輪買う時には条件をつけます。「一輪はつぼみが少し開いてきたというくらいのものを。一輪は半分くらいは開いたというくらいのものを。一輪はあと少しで全開かなというくらいのものを。すべて同じ種類の同じ色のバラを。」ショーウィンドウの中のお目当てをご指名して花屋さんに選んでもらえば、言うだけでも揃います。花器は決めおきましょう。スフレ皿でもサラダボールでも。小さめの水盤やコンポート形式のもので、挿し口が広くバラ3本立ててしっかりっしていそうな剣山が入るものを。置く場所も決めておきます。色味も大体イメージとしては持っていてください。

 水切り用の容器(ボールなど)、タオル等を敷いた花鋏、剣山の針の上のところまで水を張った花器、花材、これで生け花を始めます。(礼)
剣山を目分量で縦半分にして中心線よりどちらかに少し離れた所に挿すラインを決定します。その線上に3本の足元が並びます。つぼみが少し開いたくらいのバラを花器の直径(あるいは長辺)より長く切ります。少し長めに切って水切りで調節します。葉の根元となるところから切って、下の葉は添えるかもしれないのでそのままとっておきます。剣山の挿しラインの真ん中辺りに立てて正面にググッと傾けます。半分くらい開いたバラはつぼみより少し短く切って同様にして挿しラインの一番後ろに立て、さらに後ろに少し倒します。いかにも後ろに倒れそうな感じなのは失敗です。やや後ろにのけぞり気味、です。全開近いバラは同様にして、さらに半開バラよりも短くなって半開の少し前に立て、グッと前に傾けます。足元は一直線上です。花の顔がここで並ぶので、全開さんが挿しラインの斜め外側に少し小粋に身を乗り出します。動きが出ました。それぞれが引いた分のゆとりは奥行きです。立体作品の妙です。バランス的にどうか少し席を立って離れてから全体を見てください。大体よい感じでしたら残りの葉を茎の長さを調節しながら水切りしてカット、立てて傾け、で数本でおおまかに剣山を隠します。

 バラの葉はきれいですか。あっ!と思ったら挿してからでも濡れた布できれいにしてやってください。横からも後ろからも見てみましょう。見て自分で感じることが大切です。花の表情は開いてからまた変わりますのであまり神経質にならずに全体の把握を掴むように、見ましょう。タイトルは何でもいいのですから「初めての生け花」でも「バラの集会」でも「決意」でも自分で勝手にタイトルつけて作品が出来上がりです。
 3本のバラの広がりで空間的に奥行きができました。つぼみは、これから咲く「未来」です。半開は道途中の「現在」、全開は豊かな「過去」という時間性も持ちました。立体に時間も加わった四次元世界の芸術です。作者はあなたです。もし本当に最初の生け花でしたら、感想を書き止めておいてください。いけばな人としての始発点になります。写真かスケッチもあれば思い出になります。置く場所に設置してから花器にいっぱい水を張ります。どんどん吸い上げますからたくさんあげてください。お疲れ様でした。(礼) さて、バラ3本での生け花はどうだったでしょうか。

| | コメント (0)

2005.02.15

バラを一輪挿しからワイングラスに

 もし3、4日前にバレンタインディの花、例えばバラを生けたその後はどうなっているでしょう。真夏でもないから必死になって水替えして茎もきれいにして水切り、霧吹きも、と慌てないでごく普通だったらそのままでいて過ごされたかもしれませんね。時間もなく植物の環境がよい場合はそれこそ、そのくらいでもよいのです。空調の風が当たるとか部屋が暑すぎるとかでないならば見た目で手入れにかかっても遅いものではありません。そうもいかない花展などとかいう舞台は、普通の家庭ともいろんな意味で違うシーンです。普通の生活ではそれでも水替えができたらしておきたいものです。

 水切りして丈が短くなったバラは水を揚げてぐんぐん開きます。花瓶(一輪挿し)に長く挿していたものをワイングラスに生け替えたいと思ったとします。茎がすーっと長くて大きな一輪を、情熱的な表情を強調するためにフェイスアップさせるのです。サイドボードの上、ガラステーブルに置くのもいいですね。まず花の下一番近いところにある葉、これがきれいだったらこの葉の付け根で切ります。もし傷んでいたりしたらその下でも。それで2本になりました。バラをグラスの大きさに合わせて水切り、挿します。うんと大輪でしたら花弁の根元のガクからグラスの縁に乗せる感じになります。同じようにして葉を水切りして後ろに添えます。たぶん茎はクロスするようになると思いますが留めにもなります。少し葉がバランス的にさびしいようでしたら残った分から同じようにしてつくります。奥行きを出すためにもう一枚の葉は少し奥に、丈も手前よりは短くします。花の表情、アングルはどうか最後にもう一度チェック、挿し直す時には必ず水切りを。こうして丈を詰めて短くなったバラは一気に開きます。葉の緑こそが生き生きと花を演出してくれています。部屋が乾燥していたら蒸散が早いので霧吹きで花や葉に水気を補ってあげましょう。花はきっと「ありがとう!」と言ってくれています。

 

 

| | コメント (0)

2005.02.14

花器について

 生け花に使用する花器にはどういったものがあるでしょうか。水が入って、生けた花材を養生させられる器ということですが、もちろん形や色も大きさも大切なことです。以前、壺、筒、花瓶については説明しました。挿し口(水面)が広く底が浅いものとして水盤(円形、角形、その他変形)や、脚が付いているコンポート(円形、楕円形、その他変形)があります。剣山を使った生け花用としては陶製の水盤、コンポート、筒を角でも円でもよいのでお持ちになると重宝します。多くは流派ごとに指定花器というものがあって教室に行くとそれを使い、購入も先生がお世話してくれます。そういう方でも少し慣れてきて意欲が出たら、機会があった時に違う素材でのものを購入してもよいかと思います。ご自分でなさる方は花器専門店、陶器店などに行って相談してから好みのものを揃えましょう。鋏、剣山ほどではないけれどしっかりしたものはやはり一生ものです。

 金属製や竹製の花器には直に水を入れられないものも多く、そういった場合に水を入れる容器があります。オトシ(落とし)と言いますが専用のものでなくても代用できればよいのです。できれば色は目立たない色、花器と同じ色、あるいは透明で、金属でも陶器でもプラスチックでも構いません。つまりは、このオトシを入れることであらゆる日用雑貨が花器になり得るのです。年代物の重箱、文箱などにはキズが付かないようにオトシの下にたたんだティッシュを置き、見えないようにしておきます。普通の竹篭や木や紙製の菓子箱などにはオトシをそのまま置いて大丈夫です。元々の用途からは考えられない新鮮な効果が得られます。夏のヒマワリを数本、麦わら帽子の頭部分を少し平たくしてオトシを入れて生けてみますとセミの鳴き声が聞こえて来そうです。

 生け花の指定席であった床の間が生活様式の多様化に伴い近年少なくなってきている代わりに、玄関はもちろんあらゆるシーンがそのスペースとして大から小まで待ち受けています。心こめて知恵を絞ってあなたの友だち(花)で家庭をもっと元気にプロデュースしてみましょう。お休みの日にお子様もお父様もご一緒に、も新しい家族のふれあいかもしれません。

| | コメント (0)

2005.02.13

剣山について

 剣山は花留の道具として重宝されていて一般的です。名前をご存知の方は多いと思います。昔、少年たちの喧嘩(他愛ないものでない、ほぼ果し状あっての喧嘩)に使われていると聞いたことがあります。ちょっとさびしいことですが、よく調べていたなーとか、ご家族が生け花されていて「これは使える」と気づいたのかしら、などと思ったりしました。
 丸形、角形、日月(円と半円を連結して楕円形にして使用)、細長長方形などがあります。この頃ではプラステック針のものも登場、ガラス器などに溶け込みそうです。でも以前お話しましたが重しの役目もあるので重みがあって針が長く針目が詰まっているものを選んでください。軽く少ない花材でしたら100円ショップにあるもので十分です。花器に合わせて丸形、角形、大小2個ずつあれば少し大きな作品になってもまずは安心です。極小大きさのものは100円ショップのもので大丈夫です。

 生け花流派によっては、作品で剣山の針が見えていても問題ではないとしています。私は、生け花する人がいかに「挿す」「留める」という気持ちでいても普通の人が見るとやはり針のムシロに刺さっているように思われるのではないかという点、さらにはやはり剣山というものは舞台裏なのできれいに隠した方がよいと思っています。

 剣山も使用後は台を拭いて、針の中に詰まったもの、花枝の一部を取り除きます。ワイヤーや爪楊枝などでも構わないのですが金物屋さんに剣山直しという道具が300円くらいで売られていますので先生や金物店で剣山を購入される時に一緒にお求めいただくと重宝します。剣山の針が曲がったりしたものを金属製のチューブのようなものを差し込んで立て直すのですが、片側がネジになっていて棒状のものがついています。これで花枝クズをはじいて取り除きます。教室のものでも自分のものでも剣山はタオルの上などに逆さにしてよく乾かしてからしまい込みます。

 鋏同様、剣山、剣山直しも機会があった時にしっかりしたものを数個お求めいただくと、やはり一生ものですから助かります。また、鋏と違って使う人のクセがついたりはしないものなのでフリマやネットオークションなどで購入されても、人からいただいても大丈夫です。教室に行かれていたら先生が、個人で金物店に行ったら店の方が相談にも応じてくれます。わからないことなどは、しっかり聞いてから購入しましょう。

 

| | コメント (0)

2005.02.12

花鋏について

 花鋏には、持ち手の柄の部分がわらびのようになっている「蕨(わらび)手鋏」とつるのようになっている「蔓(つる)手鋏」があります。つる手鋏は細かい作業には便利ですが太い枝ものを切るのは苦手です。わらび手鋏はその点万能なので多く用いられています。とりあえず100円ショップでの購入でも、と以前にお勧めしましたが、それはそれで普通の花ものは十分と思いますし予備として家庭にあってもよいでしょう。でも機会があればしっかりした花鋏を購入されることがよいと思います。選ぶのに不安がある方は金物店の方に相談してください。もし教室に行かれることになったら先生が斡旋してくれます。流派ごとに指定もあるかもしれません。私の花鋏は30年以上経ちましたが一生ものだと思っています。年に一回刃砥ぎに出しています。その時に太い枝ものをたくさん切ってゆるんでしまった芯を締めてもらってもいます。車検のようなものです。刃砥ぎに出される場合はきちんとした店に出してください。金物店や先生に尋ねると教えてもらえます。へたなところに出すと何年分も刃先が減ってしまいます。

 花鋏は使用後は水気をよく拭いてから乾かし、それからしまい込みます。カバーやケースは好みのものを。持ち歩きしない家庭用ですと単に引き出しに入れておくだけでも構いません。
 花鋏を使用する時は、タオルやふきんなどを置いていて必ずその上に花鋏を置くようにしましょう。専用のものを決めておくとよいと思います。いただきもののきれいなタオルハンカチでもいいですし。ガチャンガチャンと置くたびに金属の音が響くのは不快なものです。たとえその場に自分ひとりであったとしても、道具を大切にする心を忘れないでほしいのです。花鋏は使っている内に自分の手にしっくりとなじんできます。それは心から刃先まですーっと一緒の感じです。人のを借りると何かヘンな感じというのと同じで、まったく自分用の花鋏になっていくのです。

| | コメント (0)

2005.02.11

お祝いとお見舞いの花は

 バレンタインディの赤いバラで気づきました。生け花と直接は関係ないことですが「花のある生活」の一環でお話しておきます。お祝いとお見舞いに届ける花について、です。赤いバラは鮮やかで喜びごとにはしっかりパワーを発揮します。またパステルカラーでやさしく仕上げてもよいのですが何色かのバラに効き色として赤いバラを何本か入れると締まって見えます。お祝いの中で、家に関すること、引越し祝いや新築祝いには赤い花はタブーとされています。赤い色が火を思わせ、火事へと連想させることからです。結婚式の「切れる」とかと同じで縁起かつぎですので、もはや若い世代の方はまったく気にされないかもしれません。でも差し上げる分には避けた方が無難です。明るい色、おめでたい花は赤の他にも選択の余地があるのですから。

 お見舞いの花については私自身の入退院の経験も含めてお話します。入院の状況とその方の家族関係、個室か相部屋かでずい分違ってきます。まずその方が花に目をくれてやる状況、心境でない場合と置く場所もないし家族もそんなに好きな方がいるわけでもない場合は籠花だからと思っても大きいものは避けた方がよいでしょう。でも手術後や退院時にはいくつあっても嬉しいもので、たとえおすそ分けされても喜びごとのおすそ分けはよいものです。また、しっかりした一輪挿しに一輪入れて持って行くのも気持ちは伝わります。お見舞いの時のタブーは色や匂いが強いもの、花粉が落ちたり花びらがはらはらと散るものなどです。鉢ものも根つく、ことから寝付く、となってしまいますので避けましょう。少なくとも最初のお見舞いには様子を見に行って部屋その他の状況把握をして帰り、次の機会にお花を、ということにされてはいかがでしょう。置く場所が窓際でたくさんあって、家族の方がこまめに手入れなさっているかもしれませんし、大きな花束でも大丈夫な花瓶があるかもしれません。花は明るくやさしい色味で花持ちや手入れが大変でないものがよいでしょう。洋ランの類、フリージア、ガーベラなどお勧めです。生き生きしたグリーンや夢のベールになるカスミソウを加えて「早く元気になってくださいね。」という気持ちをほんわかと伝えたいものです。

| | コメント (0)

2005.02.10

バレンタインディの花を生けましょう

 バレンタインディを本命さんと外で過ごす方も多いでしょう。自宅で一緒にあるいは一人で過ごす方、一輪の花を生けてみませんか。バレンタインディですから特別に「この一輪」を買いましょう。当日でなくそれ以前に買うのであれば先で咲くように6、7分咲きの一輪を選んでみましょう。バレンタインディにはやはり情熱的な赤いバラかな。バラでなくてももちろんいいのですが例えばバラとして、素敵なバラの女優さんを採用して一緒に帰ります。場所と器選びです。バラが大輪ですと頭が重いのでコップなどは倒れないように底に重みのあるものを。すっと丈長く生けるのでも同様に重心が下に行くような花器を。軽いものでもコップや花器が透明でしたら重しを兼ねて、よく洗ってきれいな小石(白玉石など)や白砂(寒水石)を入れてもよいですね。そういう演出や必要が無いのでしたらそのままでもちろんOKです。

 ぐるっと回して花一輪の表情をよく見ましょう。花、葉、枝には表裏があります。はっきりとわかるものもあれば、はっきりしない、何となくそうかなという感じのものも。生け花では生ける前にとにかく見ることに時間を使います。目で生けてみています。ポイントをどこに置くか、どこを正面に持っていくか、表裏を確かめながら頭の中で決定します。それから鋏を持って実際に生けるまではそれまでにかけた時間に比べるとうんと早いものです。正面を決定して器に合わせて長さも決定、いざ水切りです。長さは長いくらいにしておいてください。長い分には短くできますが短くしてしまったら長くはできません。挿し口が細い花瓶などはそのままでよいのですがコップなどでしたら以前にご紹介しましたセロテープで挿し口を仕切ってわずかな挿し口の方に挿しましょう。安定します。

 水の中に入ってしまう葉は取ります。トゲも取ると茎がきれいです。大輪ですととても大きなトゲです。花を生き生きと見せているのは葉の働きです。葉もきれいで花を引き立てる分を残しましょう。葉は濡れた布できれいに拭いておきます。正面から見て素敵な表情でしょうか。高さ、角度、方向も器とバランスとれているでしょうか。訂正して決定します。勝負バラ、どうですか。置く場所によって敷物(既製のものでも、コースターやハンカチ、スカーフ、紙ナフキンなどでも)や置き合わせの小道具も効果的に配置すると雰囲気が盛り上がります。キューピットの置物やアクセサリー、ハート形の小物入れやオルゴール、その他ロマンチックなものなど、あなたらしい好みや感性で花と置き合わせてください。大輪に限りません。ミニバラ一輪を小さなワイングラスにでももちろんよいのです。暖房がすごかったり風が直接当たったりする場所では傷みは早くなります。みずみずしさを保つためにも霧吹きで新鮮な水気を補いましょう。また、チャイムが鳴ったら霧吹き、で「今あなたのために」という感じも大切です。あとはお花に「ヨシッ!」と笑顔で声かけです。

| | コメント (0)

2005.02.09

「生け花」のススメ(3)より深く豊かな日々のために

 生け花は「華道」とも言います。日本の芸道武道(茶道、柔道など)も同じだと思いますが礼に始まり礼に終わります。遅れて来ても、先に帰るにしても、です。また、もちろん素晴らしい成果は喜ばしく立派ですがプロセス、ものごとが成って行く過程を大事にします。そう言うと修行しなくてはならず堅苦しい感じがするかもしれませんが、やっているとごく自然なことに気がつきます。
 私は少し茶道を続けていたことがあります。茶道のお点前というのは無駄がなく、手順通りにやっていくと実に美しい所作で流れるように進むことに気づき、感動しました。それが楽しくて何となく十年近く続けていました。生け花も同じでした。準備、点検、実習、後始末、反省、とどうやったら合理的にきれいにできるかを工夫、始めた頃からずい分夢中になりました。

 生け花の教室、講習会に行くとそこで実習した花材をバラして包んで持ち帰ります。帰宅してまた再生するのですが、場に合わせて丈を直して水切り、生け込みという再構築をします。時には花用バケツに入れてそのままだったこともあります。でもそういう残念な体験も大事なことです。いつか花包みを開けて哀れな状態を発見するのですから。失敗も過程の一つです。そこから学ぶこともエッセンスです。
 私が生け花を始めた昔(昔です~)は文化教室での生け花クラスは空席待ちがある程の賑わいでした。また一日教室やお正月前の正月花講習会はどの流派も盛んでした。この頃では滅多に見ない、聞かない状況です。私自身も結構講習会をしましたが今思うと、このバラしての持ち帰り、再生の面倒や不安が大きいのです。数年前にアレンジメントのようなミニ生け花をショップで販売していただいた時、飛ぶように売れました。その時初めて思ったものです。現在私は休業中ですが、こういうテイクアウトできる生け花の講習会をしようと考えています。フラワーデザインとは違った趣で「テイクアウト生け花」を創出すべく練っています。

 生け花専用の道具は無くてもできると言いましたが、100円ショップにでも行けばいろいろあります。花鋏、剣山、花器(あるいは日用品で花器としてインテリアに合いそうなもの)など少々を買い求めていただくことをお勧め致します。楽しさが出てきてそういう気持ちになった時でいいのです。
 生け花は、より深いより豊かな人生を求める人にきっとお役に立ちます。
まずは一輪の花と友だちになれたならば、いけばな人です。

| | コメント (0)

2005.02.08

「生け花」のススメ(2)生け花は面倒?

 私が思うのは、生け花が時代に乗って行こうとする積極性のあまり(焦り?)、そのチャレンジに無理があったりして見る人に混乱を招いているのではないかということです。古くさかったりダサイ感じがする人にはイメージだけでなくガンガンと「これでもか!」という競演(狂演?)の花の列挙がうんざりせているようにも思うのです。素敵なムードで夢のようにやさしいフラワーデザインには独自の良さがあります。生け花には生け花の良さがあるのです。良い所を取り入れても、生け花としての長所をプッシュすることの方が大事だと思います。私はフラワーデザインのオアシスを花留として使用することはしません。それぞれの流儀もあり自由なのですが、「新鮮な水に、水切りした花を」を常に心しています。同じ流派の先生であっても考え方捉え方はそれぞれの部分でやや違いもありますが、私は自分の生徒さんには徹底して提唱してきました。

 生け花は立体ですので縦、横、奥行きがあります。さらには生きていますので時間性も加わって四次元立体の芸術作品です。展示して放っておいても大丈夫ということが無いので、花展の時にはずっと一緒にいたいくらいです。状態は刻々と変化してゆきます。花器の水が吸い上げられて減ります。花は開いてゆき、花茎が伸びたり向きが変わったり、種類によっては花、葉、実が落ちることも。時には運悪く枝や花が倒れることも。フラワーデザインが同じ四次元立体の芸術作品であっても、これまではしないだろうなーと、よく思います。違っていたらごめんなさい。ただ花や枝の手入れはあっても、オアシスでは水替えはまず無いことですね。生け花は面倒!と言う人の気持ち、よくわかります。でも習慣づいたことは面倒ではないのです。手順よく、パパッとできるようになります。すべてのことがそうであるように、そうしないと気持ち悪いようになります。相手が可愛い我が子、好きな友だちならば苦ではなくなります。その相手のデビューのための楽しい苦労です。総合プロデュースをしてあげるのです。作者ですが実は裏方さんです。一輪の花でも、大きな花展でも、ギャラリーがいてもいなくても気持ちはまったく同じです。

| | コメント (0)

2005.02.07

「生け花」のススメ(1)私の場合

 習うより慣れろ、という言葉があるように植物と多いに親しんでください。友だちたくさんつくってください。鉢の花でも観葉植物でも、花が終わったり葉が黄ばんだりしたら切って落としてください。可哀想なのはそういう状態をさらしておくことの方です。そして土が乾いたら水やりして。鉢の花や葉も時々は別に生けてみてもよいでしょう。失敗を恐れないでいろいろチャレンジしてみてください。

 習いに行かなくても、そういうことして行くとさまざまなシーンでパッと生けてあるものに目が行きます。会社や病院、銀行、ショップ等々で。花瓶に挿してある花、フラワーアレンジメントの花、生け花など。できるだけ沢山の作品を見てください。大きな場での花展、作品展なども気が向けば、ぜひ。あなたをハッとさせる出会いがあるかもしれません。私は「いけばな人」ですので生け花を勧めるのですがピンと来たものがよいのです。また生け花も例えば花展や文化教室をのぞいて自分に合ったものに入門するなりされた方がよいと思います。先生の対応や感じも相性含めて基準になります。

 私の祖母も母も生け花をしていました。祖母は大きな流派の花を教えていました。白割烹着姿でありがたく生けていた姿を思い出します。母も別の大きな流派の花を長くしましたが教えることはしませんでした。教えることは別な技術や性格やらがあって母が選ばなかったと長い間思っていました。母はきれいなサロンエプロンで玄関にいつも生けていました。その最愛の母は数年の闘病の末、亡くなりました。もう三十年以上前です。母が病床にあって私に「いけばなするなら・・・をなさい、絶対に。」と、言うのです。それから半年も経たない内に母は天に召され、やがて「・・・」の流派の門下に入ったのです。母亡き後、すぐに当地の文化教室に初めてその流派が教室を開いたからで、これはもう思し召しとばかりにすぐに申し込みました。そして今、体調から自主休業していますが何十年もの付き合いになっています。私の場合は特殊なものですので、教室や先生を探す時には三股四股と浮気しながら自分に合っているところを探してみてください。パンフレットや見学や、今ではネットでも調べたりできますし。

 生け花を祖母や母はどう考え見つめてやってきたのかわかりませんが、私は母の言葉に指されてすーっと入って行きました。それから、母を失った辛さから何倍もの努力をして生け花に取り組みました。結局のところ血だか何だかわかりませんが好きだったのですね。生け花から教わったことは多くは植物から教わったことでした。それがあまりに嬉しく心地よく、お勧めしないではいられないのです。

| | コメント (0)

2005.02.06

風を感じる作品を求めて

 それぞれの生態を生かして生け、その結果として作品は各流派で基本の花の型となっています。どんなに小さな作品でも、ステージいっぱいの大作でも同じ文法で読み取れます。直パターン、傾パターン、垂パターンとでも名付けておきます。大体、作品はどれかに分類されます。ただもう一つ加えておきますと平パターンです。直、傾、垂はわかるけど平って何?というところでしょう。ペタンコではありません。例えば池のスイレン、道端のスミレやタンポポなど、ごく丈が低く短い花材を主体に生けると平パターンとなります。この四つのパターンが単独であったり組み合わさったりして作品が構成されます。これまで一輪の花、一本の枝を生けてきたのですが、数種の花、また花と枝を組み合わせて生けてみたいと思うようになれば楽しさは増して来ます。最近は花束に枝ものが入っているのは珍しくもなく、機会があればぜひチャレンジしてみてください。

 でも、いただいたものでなく花屋さんに買いに行くとなると花材の取り合わせに戸惑うかもしれません。この頃はどんどん改良品種や輸入花が増え、花屋さんのウィンドウはどれも目移りする花々で溢れています。自信はなくても、一目惚れや直感を大切にしてください。花屋さんのアドバイスもありがたいし相談にも乗ってくれますが、置く場やイメージをはっきりさせて花屋さん任せにしないことです。ポイントとするヒロインやヒーローを引き立ててくれるパートナーも選んでみましょう。それが大きな枝だったりするかもしれません。「私が、私が!」と言う感じの個性強すぎるものばかり合わせますと相殺してしまします。美しい華麗な花も「これでもか!」と相殺しないように。ヒーローやヒロインを引き立てて魅了する、助演女優賞、助演男優賞とれそうな配役の設定を。

 とりあえず、鋏も花器も専用のものが無くても楽しむ気持ちがあれば身近なものを代用して生け花はできます。無から有を創出することは素晴らしいことです。でも有から有をさらに創出するということもまたそうです。それが生きているものならば、あなたは生命をもっと生き生きと輝かせ表現することができるのです。花や木枝が私たちのアートのためにあるのではなくそれらの本質的な美しさをもっとくみ出すために生け花をするので、私は自分が花だったら、と常に思いながら生け花しています。しおれた姿を見られたくない、ホッチキスで留めたりペイントなんかして欲しくない、励まして欲しい、とにかくおいしい水が欲しい・・・等々。もう一つ私のこと言いますと、風を感じる作品、一輪の花でも風を感じるものを、と思っています。「 windy 」私は人生も作品も何となくこの言葉に尽きます。

| | コメント (0)

2005.02.05

浅春に、揺れる花枝を

 植物にも人間同様にそれぞれの生態が持つ個性、特徴(特長でもあります)があります。真っ直ぐに立つもの、斜めに伸びるものや横に傾くものなど。今日は下に垂れる植物を生けてみましょう。枝垂れ梅、枝垂れ桜、藤など有名で華麗なものもありますが先ず手始めには丈が短く軽い花枝がよいでしょう。これから先に出回る、白く小さな花を沢山つけるユキヤナギやコデマリ等の短い横枝が適していると思います。立てるのも傾けるのもそうだったように一枝を生けてみましょう。

 枝が下に垂れるという状態は、花器(花器として使用する器、これから先は花器と言います)の挿し口の水平線から花枝の先が下がっている状態です。挿し口の高さより上にあれば強くても傾いていることになります。花器はどういったものを使用しても構いませんが一枝だけでしたら背丈の高いものが重宝です。場所があれば掛花にしても。掛花器を持たなくても例えば小瓶を首の所にワイアーでもリボンでも結びつけてどこかに掛ければよいのです。あまりに殺風景ということでしたら小瓶をラッピングしても。手持ちの和紙でもハンカチでもチュールみたいなものでも、花とその場に合う感じのものであれば素敵です。入れる花枝のボリュームとバランスがとれているかが大事なことです。

 こういう風に捉えておいてください。筒は上から下までがほぼ同じであって、悪い言い方しますと「ずん胴」のもの。壷は挿し口が小さく胴の所がふくらんでいるもの。花瓶は挿し口から下が変化して肩や胴、腰にふくらみがあるもの。壷は一般的にはかなり胴が丸くふくらんでいてボリュームがあります。線や花の大きさ、花房の多さなどでつりあうように気をつけます。壷や花瓶はだいたい挿し口はあまり大きくありません。軽くて短い花枝はよいのですが頭が大きい、重いものは水が入っていても花器は倒れることもあります。筒は石や瓶を中に入れて揚げ底にして剣山を置いて留めることもします。また花器に、あるいは花枝そのものに仕掛けをしてしっかりと固定する方法もあります。ただカジュアルに気楽に一枝を楽しむ分には挿して花器の底や壁と挿し口で留まっているだけで十分です。先でお話することもあるかもしれません。

 下に垂れる生態の花枝であっても生き生きとした一枝を選びましょう。ユキヤナギやコデマリは大きい木から何本も、花をつけた横枝が出ています。「もうダメー・・・!」という垂れてしまった感じのものでなく先端が陽の方にくっと上がった勢いよいものを。水切りは、習慣づいていますか。

 軽やかにやさしく明るい一枝が、傍を通るとふわっと揺れます。声、かけてあげてくださいね。
いつの間にか二月になっています。立春も過ぎましたがよく言う「春とは名のみの・・・」でそこまで来ていてまだ会えない、でももうすぐという予感の、浅い春です。

| | コメント (0)

2005.02.04

友だちの居場所は

 それまで生活に無かったならば、友だち(花)の居場所を決めておくこともよいでしょう。玄関、台所、出窓、棚の上、大きい友だちならばフロア、複数の場所かもしれませんね。花束いただいたら大きい花瓶にポンと入れていた方も、水切りしながら好みの一人を(一輪)を選び出してスペシャルスペースに、ということはどうでしょうか。色味や大きさが頭にあると花屋さんに行って選ぶ時は便利です。花屋さんも相談に乗ってくれます。花持ちがよいこと、つぼみが次々咲くことなど条件など言ってみましょう。一目惚れもよいことです。一緒に居たいと願う気持ちが湧くから、準備や手入れをすることでしょう。でも失敗したら、次の恋でがんばりましょう!

 男性の方は、好みの女性は花に例えると何の花だろうかと思ったことはありませんか。時には花屋さんの前を通る時、少しゆっくり歩きながらきれいどころの面々を見てください。わりと値札だけでなく名札付けていますから。花の名前は、バラ、ユリ、ヒマワリ、ナノハナ、アジサイ、サクラ、ウメあたりは一般的な名前ですので花自体もご存知かとも思います。また、アウトドア志向の方は山野草の素朴で可憐な花に見つけてみてください。お好きな花を。

 「 友が皆 我より偉く 見える日よ  花を買い来て 妻と親しむ 」
歌人、石川 啄木の歌集「一握の砂」の中の短歌です。これを高校生の時に知った時にすぐに「何の花かな」と思いました。今でも思うことがあります。とにかく、部屋の灯りがやや暗くても夫婦の間にあるその花がポッとぼんぼりのような温かい灯にしたことと思います。花の名前をたとえ知らなくても、見て好みでないものを買うとは思えません。店先でじっと眺めていて、「これを、ください・・・。」と買って手にして帰宅するまでの啄木の心の風景を想像できる花は・・・とまで映画監督気分で思いを馳せてしまいます。

 さて一輪、一枝を立てて、傾けてということまでお話していました。明日は枝垂れ(シダレ)桜のように垂れている枝を留めて生けることをしてみましょう。

| | コメント (0)

2005.02.03

ポイントを見つけましょう

 花、細い枝を立てる時には水切りをします。何回かすると効果的ですが枝ものは斜めに切って挿します。花も吸水面を大きくするので斜めに切りますが挿す時には基本的には何回かの後、真っ直ぐに切り直します。花によっては切り口がすぐに裂けてしまうものもありますから。剣山は重しの役目もあるのであまりに太い、大きいものでなければぐらつかず立てることできたでしょう。今日は少し傾けてみましょう。

 仏像も大仏様のようにシャンとしているものもあれば観音様のようにやや首や頭を傾け気味のものもあります。水仙の花も凛としてすっくと立ち咲いているものもあれば強い雨風に打たれて倒れ傾いたものも。人それぞれで傾けることが受け取る印象は違うと思いますが一般的には直線的で強いものから動きを生じ、方向性が出ます。一輪の花を立てて手前にでも横方面にでも少し傾けてみましょう。ごくわずかでも印象が変わります。留めないで挿した時と同様ですが剣山で足元を留めているので固定されています。冬場は寒々とするので生け花では水を多く見せることはしませんが暖房もよく効いた環境ですとコップやガラスの花瓶でも寒々感は無いと思います。でも敷物などを工夫したりして、例えガラスの花瓶に好みで青い花を生けたとしても傍に何か小道具のようなものをアクセサリー的に置いてみてはいかがでしょう。たとえば場や器に見合う大きさで、今年の干支とすると、ひよこの置物やブローチなどでも春を待つ温かみがプラスされます。

 元々が曲線を持っている枝や花ですと立てるだけですね。そういう時には最もきれいに見える角度や方向を探して立てましょう。元が直線的なものでしたらそういう角度や方向を見つけて傾けて留めましょう。私たちも自分が好き、あるいはきれいに見えるアングルを知りたい、あるいは知っていますね。同じです。ほんのわずかな角度で素朴(野暮)にもおしゃれ(とりすまし)にもなります。その、ポイントを見つけましょう。花、枝を傾ける時は、まず真っ直ぐに立ててから傾けます。                                                                   
花がきちんと水を揚げて生命が感じられ、対話ができるようですと同じ屋根の下に同居する楽しさは増します。単にインテリアの一部でない、「もの」でないからです。
 

| | コメント (0)

2005.02.02

花、枝一本を立ててみましょう

 花が咲く木でも、野山や庭にある樹木は枝もの(木もの)、花や草花は花ものと言います。枝ものでも細いものや新芽の頃は水切りしてあげる方がよいのですが、花ものは水切りは絶対のお約束と思って習慣づけていただきたいのです。また少し弱ってきたら水替えをして、ヌメリなどがあれば洗ってあげてからまた水切りを。私は液体などで市販されている切り花延命剤はお勧めしません。以前の生徒さんがお子様が花を摘んで帰ってそのままコップに入れていたら萎れたそうです。その花をそっと水切りしておくと水が揚がって生き返ってシャンとなって「お母さんは魔法使いね!」と言われたとか。先ず、水切り!の精神でいます。

 さて「いけばな」に書き方がいろいろあることはお話しました。「生ける」はよく聞く、知られている言葉です。でも「立てる」はあまり知られてないと思います。「たてはな」や「立花」という生け花様式も「立てる」から生じました。元々、古来から神仏に供花として草木を立てる風習はありました。挿すという行為よりも立てるという行為は意思が発生しているのです。どこか縁に架かっていても風や何かに触れて倒れたり動いたりしないように固定、それも直立するのは強い意志の表れです。留めたいという思いです。そこにポッと挿し込んだ軽い気持ちとは違う意味がありそうです。神仏に捧げる強い祈りの心の大きさではないかと思います。

 花(あるいは花の枝)を一本立ててみましょう。器は何でも構いません。ガラスのコップでもその他の生活用品でも。水が入るものであれば。留め方は、昔は込み藁と言って藁を束ねたものや、時代を経て、木でやぐらを組んだり小石やワイヤーを丸めたり、生け花の流派独自の金属製等の留め具などがあります。剣山というものはよく知られていますが見るからに針の山(剣の山?)です。痛々しくて、と思わないでください。剣山も留めるための道具です。結果として刺さったりしますが気持ちとしては「針と針の間に留める」のです。私は心の中で「留まってね・・・。」と念じながら挿します。ごく小さな剣山は百円ショップで何種類も売られています。一つ用意されたら便利かと思います。次は木枝を傾けてみましょう。

 

| | コメント (0)

2005.02.01

一輪の花の美しさは

 「一輪の花の美しさは数多くの華やかさに勝る。」茶の湯の始祖と言われる千利休と太閤秀吉の話です。利休の茶室周りに朝顔が見事に咲き誇って評判になりました。一目見ようと秀吉が利休の茶室を訪問することににしました。その朝に利休はすべての朝顔の花を取り去ってしまい、ただ一輪を茶室の床に生けて秀吉を待ちました。朝方のかすかなる光の中に一輪の朝顔があり、不思議に思いつつ茶室に入った秀吉は驚きまた深く感動したと言われます。たぶん伝えられてはいますがフィクションと思います。でも生け花の本質をよく表しています。
 生け花はデコレーションフラワーでなく生きている花が空間に働きかけて場の空気を作り出します。その本来の力、魅力を出すために省略に省略を重ねていきます。茶室はニ、三帖の広さでしょうがかなり広いスペースでも一輪の花があることで場の空気を支配することができます。それははっとするほどの力で。

 花を挿すことから始める花生けですが例えばグラスや花瓶の縁や底に枝、茎が架かっていて留まっているのです。
枝や茎を器に挿すことも剣山を使って挿すことも「留める」働きをしています。明日は留めるということから、花や枝を立てる話をしましょう。一輪の花をもっと美しく表現するために。

| | コメント (0)

« 2005年1月 | トップページ | 2005年3月 »